
MEMBRANE
STRUCTURE
CONTEST
第一回
20
23











RESULT
結果発表
テーマ:宇宙×膜構造建築 「宇宙〜inflation〜」
膜構造コンテスト 最終審査
令和6年3月15日(金)に最終プレゼン審査および表彰式が行われました。全17作品の応募の中で、最終審査に残った上位6組が、各自資料や模型を準備し、最終プレゼン審査に挑みました。表彰式では、最優秀賞と優秀賞には賞金と賞状、最優秀賞にはトロフィーが贈られました。
その後、最優秀賞の古田氏と審査委員長の山口氏、ファシリテーターの黒田氏と対談を行いました。対談記事は後日掲載予定です。
懇親会も開催し、作品や膜構造、宇宙についてなど、語り合いました。

総評

審査委員長 山口篤樹 (山口産業株式会社 代表取締役)
今回のテーマとなった『宇宙』という未知のフィールドに対して、応募作品のアイデアはどれも柔軟且つ斬新で私達審査員を驚かせてくれました。また、一つ一つの作品にストーリー性があり、常に変化を続ける宇宙に対して今、膜はどんな課題を解決し、どんな未来を描けるか、様々な物語の中で膜の無限の可能性を感じ、30年以上膜構造に携わってきた私も知らない新しい膜構造の領域を見せていただいたと感じています。
今回のコンテストを機会に、応募いただいた方をはじめとした学生の皆様には、膜構造の可能性を様々な場面に応用していただくことを期待すると同時に、ご活躍を祈念いたします。
審査副委員長 黒木 二三夫 (日本文理大学工学部建設学科客員教授 山口産業株式会社設計部技術顧問)
参加グループ(参加者)全般に関して言えることは、コンテスト参加前までは「膜構造」に関して、専門教育を受けたこともなく、予備知識すら持っていなかったと思われます。更に、その膜構造を宇宙空間や他の惑星で使用するという難しいテーマに対し、募集開始から作品提出までの僅か5か月間という短かな期間でリサーチし、自分達なりの独自の提案を、よくもこれだけの作品に仕上げることができたものだ、と感心させられました。
20世紀以来、再び宇宙への期待が高まっている現代においてコンテストのテーマ性から、「地球とは異なる宇宙線下の膜構造はどのようなものが要求されるのか」、「小惑星の活用」、「宇宙デブリの建材への変換」などハード面に加え、「宇宙での社会生活をどのようにとらえるべきか」といったソフト面までの提案がなされ、それこそ「宇宙への夢が膨張する」楽しいコンテストだったと感じます。
審査委員 新井 康平 (佐賀大学名誉教授 西九州大学客員教授 久留米大学客員教授)
今回のコンテストのテーマ「宇宙インフレーション」に相応しく、創造性豊かで甲乙つけがたい作品が多く提案された。エウロパを対象に積層膜構造による源流生成、マリウス丘における竪穴住居に地球環境を作るアイデア、M型小惑星に目を付けた作品、団子串刺し状態やブドウの房状態の膜構造及びその建築物の展開法、膜構造の素材の工夫、水循環の考慮、傘構造の中に雨を降らせるという発想、小惑星間をつなぐとの発想、スペースデブリを資材とする考え、火星におけるごみ処理を対象にする発想、ストーリー性、コンセプトに富むアイデア等が優れているものが多く見られた。
審査委員 佐々島 暁 (株式会社日本防災研究所 宇宙建築の会 日本建築学会 宇宙居住特別委員長)
今回のコンテストに作品を応募された皆様、お疲れ様でした。そして受賞された皆様、おめでとうございます。
テーマである「宇宙×膜構造建築」は、他の建築のデザインコンペと比較してかなり難しいテーマだったのではないでしょうか。人が生きるためには条件が多すぎる宇宙空間で、如何に膜構造を活かした提案をするか。そして、平面では表すのが難しい膜構造を説得力のあるビジュアルで表現する難しさは尋常ではなかったのではないでしょうか。
そんな難しいテーマにチャレンジし、作品として完成させた応募作品全てに敬意を表したいと思います。
第1回膜構造コンテスト 受賞作品

最優秀賞
賞金30万円+賞状
「寄生 寄り生きる」
古田 摩実さん
お茶の水女子大学
受賞コメント

コンセプトは、「寄生」です。宇宙での滞在場所として月や火星などが考えられていますが、得られる資源が限られることが懸念点だと感じました。そこで、生物に必要な元素を含む可能性があり、重元素が集まって利用しやすい小惑星に注目しました。「複数の小惑星から資源を採掘し、その資源を用いて居住空間を拡大していく」小惑星に寄生して膨張するような建築です。宇宙だから活用できる技術、地球で応用できる膜材の使い方を考えました。大きくとらえた居住空間と、人々の生活する場として小さくとらえた居住空間の両方に注目することを意識しました。
最優秀賞作品講評
審査委員長 山口篤樹
小惑星に寄生して生活し膨張していくという斬新なアイデアに非常に心を惹きつけられました。連結に膜のチューブを使用し通路として利用するという発想も、膜構造の特性を良く理解されていて、実現してみたいと思わせてくれる作品だったと感じています。
審査副委員長 黒木 二三夫
天体間に浮遊する小惑星に寄生し、資源を得ながら個人スペースと共有スペースで構成される「居住空間が膨張する」、という独創性が面白い。CADの時代に、敢えて手書きでの図面表現による仕上げで、提案している各項目の詳しい説明に一役買っている点にも、工夫が感じられた。
審査委員 新井 康平
複数の小惑星の異なる資源を集めて空気砂膜構造を伴う地球外居住区を創造するアイデア、遠心力による重力の創造等評価できる作品に昇華している。
審査委員 佐々島 暁
一見、自由度が高いように見える宇宙と膜構造は多くの課題を抱えるテーマでした。本作品はその課題に対して真っ向から挑み、細部に至るところまで思考を凝らしたアイデアが詰め込まれ、そう言った部分が評価されたと思います。
優秀賞

賞金5万円+賞状